完成したキーボードの写真

初心者によるキーボード自作 準備編

お久しぶりの更新です。

テレワークも1年半が過ぎ、自宅の仕事環境を更新してみようといろいろとウェブ世界を徘徊していたところ、右手左手分離キーボードが体の負担を削減してくれるよ、との情報を得ていろいろ探してみました。
市販キーボードにも分離キーボードがあるのですが、種類が非常に少なくほとんど選べる状況にはありません。さらに調べると自作キーボード(完全自作ではなくパーツを買って組み立てる)の世界には分離キーボードもいろいろ種類があることがわかりました。
そこで、その界隈では有名な遊舎工房さん(https://yushakobo.jp/)のオンラインストアを覗いてみました。
また、キーボードの組み立てに当たっては「自作キーボード温泉街の歩き方」というサイトを参考にさせていただきました。情報がまとまっていて非常にありがたかったです。

キーボード組み立ての流れは以下のようになります。

  • 基板、キースイッチなどパーツの準備
  • パーツの半田付け、ケース等の組み立て
  • ファームウェアの作成
  • マイコンへのファームウェア書き込み

慣れていないと一番大変そうなのがファームウェアの作成ですが、ウェブで簡単に作成できるツールがありますので、まずはそれで行うのが良いかと思います。

自作キーボードはキーが少ないけど普通に使えるのか

確かに普通のキーボードと比べてキーが少なく、使用できないキーがありそうです。
しかし自作キーボードではレイヤー機能というものがあり、一つのキーにいくつもの文字・機能を割り当てることができます。
例えば、「無変換」キーを押しながら「1」を押すと「F1」が押されたことにする、「変換」キーを押しながら「F」を押すと「→」が押されたことにする、というようなものです。
この例ではあるキーを「押しながら」別のキーを押す、という操作ですが、これをトグル操作で行うよう設定することも可能です。

これはファームウェア作成時に設定することになりますが、GUIのツールで簡単に設定することができます。
レイヤー機能を駆使することでキーボードのホームポジションから手を動かすことなくカーソル移動やテンキーでの入力を行うことができるようになります。
WindowsであればAutoHotKeyというツールで同じことが実現できます。私は自作キーボードを使う前はAutoHotKeyでキーボードをカスタマイズしていました。

キーの組み合わせなどを覚えなおす必要があるので慣れるまでは少し大変ですが、私の経験では2~3日で慣れて使えるようになります。
今回私が作ったRunner3680は普通のキーボードとは違って格子状のキー配置なので微妙にキーの場所が違い、タッチタイピングのさいに指の位置にずれが出てきてしまいます。
そういったことの慣れも含めて、2~3日で何とか使えるようになってきました。
ということなので、この記事を読んでいるような自作キーボードに興味がある方(普通のキーボードは使いこなしている方だと思います)であれば特に気にせずに使えると思います。

パーツの準備

さて、まずはパーツの準備です。
世の中にはさまざまなキーボードの基板(PCBというらしい)とその関連パーツがセットで売られています。ただ、キースイッチとキーキャップは別売りのものがほとんどです。
まずはここが最初の躓きポイントでした。どのスイッチを買えばよいかわからず、またどのキーキャップを買えばわからず、でした。

とりあえず、キースイッチ(メカニカルスイッチ)には大きく分けてCherry MX(とその互換品)とKailh Choc(とその互換品)があるらしい、ということがわかりました (違いは基板にはんだ付けするピンの形状とキースイッチに差し込む部分の形状) 。
また、キーキャップにはCherry MX系とKailh Choc系があることもわかりました(違いはキースイッチに差し込む部分の形状。十字型かコンセント型か)。
Cherry MXの例(遊舎工房の商品ページ)
Kailh Chocの例(遊舎工房の商品ページ)

Cherry MXキースイッチの画像
Cherry MXキースイッチ(遊舎工房さんのウェブサイト画面)
Kailh Chocキースイッチの画像
Kailh Chocキースイッチ(遊舎工房さんのウェブサイト画面)


商品ページにはいろいろなものが売っていますが、上記2種類と考えてよいようです。
ただ、Chocスイッチにはv1とv2がありピンの配置に違いがあるようです。基板との適合には注意しましょう。

キースイッチには、その押し心地などで赤軸、青軸といった種類があることがわかりました。キーボードで有名なFILCOさんのサイトに説明がありましたのでリンクを張っておきます。
FILCO「Cheryy MXスイッチとは」

キーキャップには「プロファイル」で形状が区分されているようです。これはキーキャップの厚みや角度などの違いで、どのプロファイルでもキースイッチへの差し込み形状が同じであれば装着できるようです。
プロファイルについてはこちらのサイトで詳しく解説されていますのでご参照ください。
自作キーボード温泉街の歩き方「キーキャップの湯のお誘い ver2」

購入したキーボード基板(Runner3680)

さて、私が購入したのはRunner3680という商品です。
選んだ理由は、最初の組み立てキーボードだったので失敗してもダメージが少ないように安いもの、キーが5段あるもの(普通のキーボードに近いもの)、の2つでした。
この商品はPCBとダイオード、ビス、Pro Micro(キーボードを制御するマイコン)などです。他の商品にはキーボードのボディとなるアクリル板が含まれているものが多いですが、この商品にはついていないので別に購入しました(なくてもキーボードとしては機能しますが、基板保護などのためにあったほうがいい)。

商品の内容物の紹介写真
商品の内容物

このほかにCherry MXの赤軸キースイッチ、とシンプルなキーキャップを購入しました。
キースイッチに関してはばら売り(大体10個単位で販売されています)で購入するのですが、たまたまAmazonでLogicool G PRO Xキーボードの交換キースイッチのセット(Cherry MX互換の赤軸、92個入り)が安く売っていたのでこちらを購入しました。

あとLEDを取り付けることもできますが、はんだ付け箇所が一気に2倍以上になってしまうので今回はやめました。

Runner3680というキーボードは左右分離式で、それぞれ5行8列から3行6列の間でキー配置を選択できます。商品の基板は5行8列の状態ですが、これを所定の場所で折って切り離すことで好きな大きさのキーボードを作ることができるのがこのキーボードの特徴です。
商品ページから組み立てガイドのページに行けるのでそちらを参照すれば組み立てることができます。
ただ初心者にはちょっとわかりにくいところもありました。

慣れている人なら何の問題もないんだと思いますが、私には基板の裏表がわかりづらかったです。
キースイッチを取り付けるほうが表だとすると、表にはキースイッチのみが配置され、裏にはキースイッチ以外のすべての部品(ダイオード、マイコン、タクトスイッチ、TRRSコネクタ)が配置されます。
基板のPro Micro(マイコン)取り付け部分の印刷に四角い枠が書いてある方が裏(ダイオードなどを取り付ける方)です。

基板の裏表を説明する画像
Pro Microのピンに四角い枠が書いてあるほうが基板の裏側

この基板は購入時には一枚モノです。これを半分に折って左右に分割します。
さらに、5行8列以外の配列にするときには不要な部分の基板を折って切り取ります。
私は左手は5行7列、右手は5行8列にしました。この時、右の基板か左の基板かが分かりづらくなりますので、基板の裏表を確認しながら間違わないようにしましょう。
基板の切り取り方は組み立てガイドのページに記載があるので参照してください。

さて、準備編はここまでです。
次回からは半田付け・組み立てファームウェア作成・書き込みと進みます。

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